高断熱フィルムとダンボールを組み合わせることにより、高水準の保冷性能の実現に成功した当社の「N-クール」。共に手を携えながら商品開発にご協力いただいた、富山の老舗蔵元『富美菊酒造』様の蔵人・営業部長の羽根千鶴子さんにお話を伺いました。

■品質を守りながらお客様の元へお届けするために

―まず、富美菊酒造さんについて教えてください。

羽根さん:ここ富山市で100年以上の歴史を持つ小さな酒蔵でございます。全国的にも珍しい四季醸造蔵で、冷蔵設備を駆使しながら一年を通して酒造りをしております。すべての日本酒を大吟醸と同じ造りで手間暇をかけながら一滴一滴、心を込めて酒造りに取り組み、現在は、「富美菊」と屋号である「羽根屋」の二つのブランドの日本酒を展開。全国市場向けの限定製造の「羽根屋」を主軸とし、富山県内をはじめ全国のお客様にお届けしています。海外にも販路を広げ、おかげさまで数多くの皆さまに親しんでいただけるようになりました。また、2015年より国際的な品評会にも出品しており、本年度パリとロンドンで開かれた日本酒品評会で、いずれも部門最高賞を獲得いたしました。

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―「N-クール」を知ったきっかけを教えてください。

羽根さん:私どもの主力となる酒は「生酒」です。お客様の元に届くまで10~15℃をキープしなければその風味や味わいが変わってしまうという、大変繊細な商品でございます。そのため、5月~9月はクール便でなければ発送することが叶いませんでした。長年クール便を使用しておりましたが、数年前に、さまざまな運送会社さんにおいて、クール便での発送条件が厳しくなり、結果コストに関してもかなり上がってしまうこととなり大変頭を悩ませておりました。

そんな時期に、とある試飲会イベントで他の酒蔵さんがポリエチレンとアルミ製の保冷箱や袋を使用してらっしゃるのを見かけまして、うちでも取り入れることはできないものかと模索しはじめました。そんな折に、スタッフがたまたまジャパンパックさんのホームページを拝見しまして、お土産用などの保冷商品を扱ってらっしゃることを知り、お問い合わせをさせていただきました。

■試行錯誤を繰り返しながら製品化を実現

―「N-クール」を選ばれた理由を教えてください。

羽根さん:実は、さまざまな可能性を探るなかで、別の業者さんとも並行して別のツールを使用してのクール便での発送も模索していたのですが、使い勝手のよさや箱の破損率の低さが決め手となりました。そして何より、長田社長のものづくりに対する真摯な姿勢や情熱に共感したという点も大きかったです。

―開発中のエピソードなどをお聞かせください。

羽根さん:一升瓶が6本入るように、富美菊オリジナルの規格で商品開発をしていただいたのですが、保冷はもちろんのこと、強度や結露などに対して何度も実証実験をしながらデータを取り、どんどんブラッシュアップを重ねていきました。特にダンボールは大変質がよく、結露や水濡れにも強い素材を採用してくだりました。

しかも、ありがたいことに最初の型代のみで、ブラッシュアップにかかった費用はすべてジャパンパックさんがご負担なさっています。「とにかく納得がいくまでよりよい製品を作りたい」という長田社長の熱意に私たちも、誠心誠意お応えするべく、ご協力をさせていただきました。

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■破損率の低さと保冷性能の高さ

―実際に「N-クール」の使い心地はいかがですか?

羽根さん:非常に満足しております。以前の梱包に比べると、保冷剤を箱の中に入れるという作業や保冷材の購入・保管という工程は増えましたが、全く苦になりません。コストパフォーマンスに関しても高い水準を保てていると感じております。

また、以前、クール便で発送していたころには度々、温度変化に伴う結露が原因で箱の破損が度々発生しておりましたが、破損率は、ほぼ0です。導入してからここ数年はそのような報告はありません。どうしても、温度変化などにより箱に結露が付いてしまうため悩みの種でもあったのですが、「N-クール」で発送するようになり劇的に解消しました。

また、一番私たちが憂慮しておりました品質管理・保持についても、全く問題ありません。むしろ、保冷箱に入れることで日差しを遮り、保冷効果も保てますので、クオリティは、ほぼ蔵元から発送したままの状態でお客様にお届けできています。温度変化による味わいの違いに関するクレームなどもございませんので安心して使用しております。
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画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: fumigiku6-1024x683.jpg■信頼できるビジネスパートナーとして

―ジャパンパックに対する印象はいかがですか?

羽根さん:同じものづくりを生業としている者として非常に共感できる部分が多いように感じます。優れた技術力はもちろんですが、長田社長の研究熱心で「すべてはお客様のために」という妥協を許さない姿勢に絶大な信頼を置いております。この保冷箱も、ジャパンパックさんでなければ、実現しなかったのではないかと思っています。

また、繁忙期などは急に箱の在庫が一気に足りなくなることがあるのですが、工場でできた分から社長自ら、持ってきてくださることもあって、毎回申し訳なく思いつつも本当にいつも助かっています。そんなきめ細かいフォロー体制もジャパンパックさんのよさのひとつなのではないでしょうか。

―お客様からの反響はいかがですか?

羽根さん:商品をお送りする先は、酒屋さんをはじめ、酒販会社さんや百貨店さんなど多岐に渡りますが、安全安心に輸送することができています。結露による破損がほほないのでお客様も「N-クール」をさらにリサイクルして有効活用しているそうです。「この箱、大活躍だよ。」とみなさんに喜んでいただいています。SDGsの観点からも、環境にやさしいというのはこれからの時代にフィットすると思います。

―最後に、今後についてお聞かせください。

羽根さん:現段階では「N-クール」の保冷は1日のみです。お客様からも「2日持つようになれば」というご要望もあり、保冷剤ではなくドライアイスを使用した実験も始めています。さらなるブラッシュアップをジャパンパックさんと共におこなっているところです。これが成功して無事に製品化することができたら、お客様をはじめ、同じ悩みを抱えてらっしゃる酒蔵さんにも広くご紹介させていただこうと考えています。

私どもだけでこの製品を独占するのではなく、いろんな皆さんに「N-クール」のよさを知っていただき、使っていただくことで業界全体にもよりよい影響をもたらすと考えています。輸送時における品質管理をさらに徹底することで最終的には、エンドユーザーのみなさまに、味しい日本酒を広くお届けできるのではないかと。

また、そういった形で、少しでもご尽力いただいているジャパンパックさんにご恩をお返しすることができればと…。信頼できる大切なビジネスパートナーとして今後も末永くお付き合いさせていただきたいと思っています。

■富美菊酒造様ホームページはこちら

富山県中小企業リバイバル補助金活用事業(令和3年12月9日作成)

■取材協力 株式会社グラフ様